ユーザー事例
地方自治体の水道局が低予算で高精度を実現
著者: Travis Anderson - Le-Ax Water District、水道局エンジニア
Travis が Collector で成し遂げた業績は素晴らしいものです。 おかげで、Le-Ax はフィールド作業員に GPS 技術を簡単かつ経済的に配置することができました。 iPad に搭載された Esri Collector アプリによって、現場での操作は非常に簡単になりました。 最近の作業員は、コンピューターの知識はなくても、スマートフォンは持っているものです。 Esri Collector アプリは、簡単に言えば、スマートフォンを操作できる従業員を GIS の現場技術者に変えてくれます。 これが Le-Ax だけでなく全国の他の上下水道事業者にもたらす可能性を考えると興奮します。 Travis が Esri と協力して作業に取り組み、Esri の Collector アプリの配置に貢献したことを誇りに思います。 - John Simpson - Le-Ax Water District、ゼネラル マネージャー - Ohio Rural Water Association 役員、委員会会長
私が Le-Ax Water District で働き始めたときは、スタッフが地上にあるすべてのアセットの GPS ポイントの収集を終えたところでした。 オハイオ大学の Institute of Local Government Administration and Rural Development (ILGARD) が技術リソースを提供することで、Le-Ax はついにすべての要素をまとめ、機能する GIS を獲得することができました。 その時点から、GIS を維持するのは水道局の責任でした。
GPS ポイントを収集するという継続的なタスクは、保守作業員に割り当てられました。 彼らは蛇口、メーター、バルブの設置や、修理、水道管の露出を担当していたので、作業員にアセットの位置を収集させるのが最も理にかなっていました。 私は、スタッフから定期的にハンドヘルド GPS ユニットを受け取り、新しいポイントを ArcMap に入力しました。 このワークフローは非常に簡単に見えましたが、水道局が GIS の保守を担当する移行は容易ではないことがすぐに明らかになりました。
浮き彫りになった問題点は主に 2 つありました。1 つは、機器/ソフトウェアに関するスタッフの技術的知識が限られていることで、もう 1 つは、ハンドヘルド ユニットが精度を取得するのに必要な時間でした。 1 つ目の問題は、スタッフ用の早見表を作成することで解決されました。 早見表で質問に答えたり記憶を更新したりできない場合は、大体、電話で問題を解決できます。 2 つ目の問題は、もっと議論が巻き起こりました。 作業員が修理箇所をすぐに埋め戻すことができるのに対して、ポイントを収集する担当者は、ハンドヘルド GPS ユニットで精度を確保するために待機していました。 これには、20 秒程度かかります。数分かかることもありました。 これは、誰にとっても本当にイライラする作業になりました。
Le-Ax は、ハンドヘルドの使用を進めていきましたが、GIS にとって生産的な期間ではありませんでした。 私たちは、スタッフからの賛同を失いました。 これとほぼ同じ時期、アプリが爆発的に普及し、誰もがスマートフォンを持つようになりました。 私は、マーケットプレイスを検索して、航空写真の背景にシェープファイルを投影するシンプルなモバイル アプリを見つけました。 スマートフォン内部の GPS は位置を示します。 正確ではなく、座標の設定も簡単ではありませんでしたが、役目を果たすことはできました。 スタッフにアプリを見せたところ、皆の GIS に対する意識が変わりました。 それは Le-Ax にとってのアハ体験でした。 私たちは、皆の手元に便利なツールを用意し、全員がそれを使用しましたが、お金は一切かかりませんでした。
Le-Ax は、間違いなくフィールド データ収集の転換点にありました。 Collector for ArcGIS がリリースされたとき、これが現場で iPad を使用するための次のステップになることがわかりました。アプリの使用方法を理解する必要はありました。私は Le-ax に来るまで GIS についてほとんど知りませんでした。 私は独学ですべてのことを学びました。 多くの知識は、Esri のオンライン コミュニティから得ました。 Esri の Web サイトを検索すると、ユーザーと Esri サポート スタッフとの間の多くの対話があり、それらは私が抱えていた多くの疑問に答えてくれました。 Collector のオンライン チュートリアルでは、マップを作成し、Collector アプリでアクセスできるようにするためのガイダンスが得られました。 すべてがとても簡単にわかりました。 Collector を完全に実装する上でのパズルの残りのピースは、ArcGIS Online のサブスクリプションでした。 私たちは、すでに ArcGIS for Desktop Basic のシートと年間保守サブスクリプションを持っていたため、Esri から無料の ArcGIS Online アカウントが 1 つ提供されました。 私は、オンライン マップの作成と組織内での共有に関する基本事項を読んだ後、ArcGIS Online でレイヤーのアップロードとデスクトップ GIS の再作成を始めました。 概念を理解した後、デスクトップ GIS をオンライン バージョンとして再作成するのには、約 30 分かかりました。
マップを作成すると、iPad で Collector の機能をテストすることができました。 現場専用のアプリとして、Collector は ArcPad に似ていますが、より使いやすくなっています。 とても直感的です。 青の円は GPS 受信機の位置を示し、上部には非常に機能的なツールバーがあります。 レイヤーにアクセスするときは、レイヤー シンボルをタップすると、マップ内に含まれるレイヤーがドロップダウン リストに表示されます。 上部のツールバーにあるカメラ アイコンをタップすると、写真を撮ることができます。その後、ポイントしてクリックします。 完了したら、送信ボタンをクリックします。 すべてが更新され、ArcGIS Online に安全に保存されます。 Collector の使いやすさは、いくら強調してもしすぎることはありません。
Collector はよく考えられた製品ですが、私には接続性と精度という 2 つの大きな懸念がありました。 オハイオ州南東部にあるアセンズ郡は、モバイル通信の活発な大都市と呼べるような地域ではありません。 確かに、主要幹線道路沿いならデータ接続を利用できるでしょうが、私たちは地方の水道局です。 4 つの郡の 500 マイルに及ぶ水路で、約 7,000 の蛇口にサービスを提供しています。 水路は、ショベルカーを運転する度胸のある人がいるとは想像できないような場所にあります。 データ接続が利用できる場所が近くにない水路が沢山あります。 Collector を利用するのであれば、接続性のないオフライン環境で作業できる必要がありました。 私は、オンライン コミュニティを検索して、Esri がこの機能に取り組んでいることを知りましたが、それがどのように機能するかはわかりませんでした。 オフラインにするプロセスが専門的すぎて、スタッフが利用できないのではないかと心配しました。 誰かがデータ サービスのない地域に行くたびに、私が設定しなければならないのでは使い物になりません。 オフラインで動作する機能を提供する Collector のアップデートで、Esri はこれ以上ない製品をリリースしてくれました。 基本的には 2 段階のプロセスでした。 私がスタッフにこの機能の使い方を一度見せたところ、それ以来、助けを求める人は現れませんでした。
最後の懸念は精度でした。 iPad で Collector を使用することは、すべてが好ましいことでした。 これまで何年も使用してきたハンドヘルドをはるかに上回る機能を備えた現場対応のツールとアプリが利用できました。 スタッフは、メールを受信したり、気象条件を確認したり、気象警報を受信したり、現場からオフィスに写真を送信したり、他のアプリを使用したりできるようになりました。 また、データ接続が利用可能な場合、リアルタイムのデータ収集に勝るものはありません。 ユーザーが送信ボタンをクリックすると、オフィスで見ているマップに即座にバルブが表示されます。 それは、とても感動的です。 しかし、これらすべての利点を踏まえても、1 か月後または 5 年後にそのバルブやその水道管の位置を特定できるレベルの精度が得られなければ、すべてが無意味です。アセットの位置を特定し、GPS データに基づいてそのアセットの所に戻ることができることがすべてだからです。 最初から、外部の GPS 受信機が必要なことは認識しており、それは安い買い物ではありませんでした。 仕様を精査した結果、1 メートル以内の性能がある Arrow 100 を選択しました。 購入する前に、この受信機を実際に数日間レンタルして、Collector と iPad でテストしました。 3 つの特徴により Arrow 100 の購入を決定しました。まず、iPad での動作を Apple が認定していました。次に、(接続範囲が広い) クラス 1 の Bluetooth 通信ができました。そして、受信機が提供する補正サービス以外に、オハイオ州交通局 (ODOT) のリアルタイム キネマティック (RTK) ネットワークに接続して、非常に高い精度を実現できました。 受信機が衛星に接続する速度 (<60 秒) と、ポイント取得の非常に迅速な応答が相まって、パズルの最後のピースがようやく埋まったように感じました。 ポイントの取得に 30 秒待っていた日々は終わりました。 ポイントは、ボタンをクリックするのと同じくらい早く取得できるようになりました。
Esri の Collector 10.4 のリリースは、高精度の外部受信機のサポートを含み、すでに優れていたアプリの最後の仕上げとなりました。メタデータを取得して、属性テーブルに渡すことができるようになりました。 各フィーチャのデータ精度のレコードを確認および保持できることで、プロセスとスタッフに信頼感が生まれます。 また、機器の性能を確認することもできます。 精度レベルに異常が見られる場合、マップ上のポイントをよく見ると、大きな松林が信号を妨害していることに気付くかもしれません。あるいは、ポイントが大草原にある場合は、機器をチェックすべき時だとわかるかもしれません。
有用性を証明したもう 1 つの機能は、測地基準系変換を可能にする補正プロファイル設定です。 多くの郡と州は、国家平面座標系のデータを利用しています。 ここオハイオ州では、交通局が NAD83 に補正サービスを設定しています。 それを正しく使用するには、すべての事物が一致するように測地基準系を変換する必要があります。 この機能を設定すると、補正がリアルタイムで行われます。 これにより、非常に高精度のデータ収集を実施できます。
最後に、予算について話しておかねばなりません。 誰にも予算があり、それは守りたいものです。 GIS や GPS に関連するアイテムに法外なコストをかけることは非常に簡単です。 私は、外部受信機に多額の費用を出して、他の 2 つのハンドヘルド ユニットと同じように棚に並べるだけにはしたくありませんでした。 そのため、私たちは慎重に、ゆっくりと移行しました。 最終的には、適正な予算で本当に素晴らしいフィールド ソリューションをまとめられたと思います。 3 倍の費用をかけて 1 フィート以内の性能がある受信機を使うこともできましたが、オンラインで 8 cm の精度、オフラインで 0.5 メートルの精度 (最悪の場合) で収集できれば十分だと思いました。 私たちが探すアセットは、直径約 9 インチのバルブ ボックス、直径 16 インチのメーター ピットの蓋、幅が 2 フィート以上の水道管の溝などです。 それらが見つからない場合は、それを探す人の側に問題があります。
最終的には、約 3,700 ドルを投資しました。 私たちは、ArcGIS for Desktop Basic のシートの年間保守サブスクリプションを持っていたので、ArcGIS Online の無料アカウントを 1 つ利用できました。 そのアカウントを使用して、オンライン マップの初期テストと設定を行いました。 その後、ArcGIS Online の 5 シート ライセンスを取得したので、現場に複数の iPad を配置し、オフィス スタッフがオンライン マップを利用できるようになりました。 ArcGIS Online の優れた点は、組織内のすべてのユーザーがすべてのマップにアクセスできることです。
私たちは、この新しいフィールド ソリューションへの移行のすべてに満足しています。 Collector は、外部 GNSS をサポートしているため、この移行は非常に簡単でした。 同様の方向に移行することを考えている他の水道事業があれば、私はそれをお勧めします。 私は、Ohio Rural Water Association のメンバーなので、GIS をどこから始めたらよいかわからない小さな水道事業や村が沢山あることを知っています。 それは大規模で費用がかかる可能性があります。 しかし、GIS の経験がない人から始めてみましょう。これは、限られた予算であっても、間違いなく実行できます。 すぐに行動を起こして、外部 GNSS 受信機を購入する必要はありません。 400 ドルまたは 500 ドルのタブレットから始めて、Collector をダウンロードし、それで何ができるかを確認してください。 コンサルタントに何千ドルも払う必要はありません。 データの保存やバックアップを心配する必要もありません。 すべてが揃っています。 使用するすべてのツールが用意されています。 必要なのは、最初の一歩を踏み出すだけです。
著者: Travis Anderson - Le-Ax Water District、水道局エンジニア